CREATORS LOUNGE  - 3D Consortium Contents Gallery -
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6. 立体映像の公開
6. 立体映像の公開
 従来、立体映像の公開はテーマパーク等が中心でしたが、最近では、裸眼方式の立体ディスプレイを搭載したPCが市販され、個人でも手軽に立体映像を再生できる環境が整いつつあります。

6.1 シアター型の公開
 多人数を対象とした公開を、シアター型と定義します。シアター型では、プロジェクタを用いて、大型スクリーンに投影するのが一般的です。使用するプロジェクタの台数によって、2プロジェクタ方式と1プロジェクタ方式の2種類に分類できます。

(1)2プロジェクタ方式
 大型スクリーンを用いたテーマパークでは、2VTR方式で記録されたコンテンツを、左右2台のプロジェクタを用いて、偏光フィルタ方式で投影する場合が多いといえます。この方式で必要となる機器は、偏光フィルタを付加した2台のプロジェクタ、プロジェクタ設置用スタッカ、再生装置、スクリーン、そして観察用の偏光グラスです。

2プロジェクタ方式での機器構成例



(2)1プロジェクタ方式
 1VTR方式で記録された立体映像ソースを、1台のプロジェクタを用いてスクリーンに投影する方式を、1プロジェクタ方式と呼びます。この方式における左右の映像の分割には、主に、CRTあるいはDLPプロジェクタによる時分割方式が利用されます。

1プロジェクタ方式(時分割方式)での機器構成例



6. 2 パーソナル型の公開
 1人ないし2〜3人の少人数を対象とした公開を、パーソナル型と定義します。パーソナル型では、2台のテレビやPCのモニタを立体ディスプレイとして使用します。立体ディスプレイの方式としては、時分割方式、偏光フィルタ方式、パララックスバリア方式が中心です。



(1)時分割方式
PCモニタ用液晶シャッタグラスとドライバの製品例


(株)レッツ・コーポレーション Beautiful3D
 時分割方式の機器構成としては、モニタ、再生装置、液晶シャッタグラスを駆動するためのドライバ、そして液晶シャッタグラスが必要となります。低価格という特徴がありますが、周波数によってはチラツキを感じることや、液晶モニタやプログレッシブ方式のCRTモニタで使用できないという問題もあります。



(2)偏光フィルタ方式
偏光フィルタ方式のパーソナル向け製品例


(株)有沢製作所 LCD-AD152CWR3D
 微細な偏光素子で構成された「マイクロポール」というフィルタを、液晶モニタに付加して使用します。機器構成としては、マイクロポールを付加した液晶モニタ、再生装置、偏光フィルタグラスが必要となります。再生装置としてVTRやDVDを使用する場合には、専用のコンバータが必要となります。



(3)パララックスバリア方式
パララックスバリア方式のパーソナル向け製品例


シャープ(株) PC-RD3D
 時分割方式と偏光フィルタ方式は、いずれもグラス方式で、観察者は特殊なグラスの装着が必要となります。これに対して最近はパーソナル向けに、パララックスバリア方式の裸眼立体ディスプレイが発売され、注目を集めています。グラスの装着が不要という利便性を考えると、今後は裸眼方式が立体ディスプレイの中心となることが予想されます。

6.3 ネットワーク型の公開
 近年、インターネットを経由した映像や音楽の提供サービスが盛んになってきました。今後は立体映像コンテンツにおいても、ネットワークを介した公開機会が増加することが予想されます。これを、ネットワーク型の公開と定義します。

 さて、ネットワーク型の公開における課題として、観察する人の立体ディスプレイの方式に応じたコンテンツの表示があげられます。特定の方式に限定して公開することも可能ですが、観察可能な人の数も限定してしまいます。この問題を解決するには、方式毎にコンテンツを用意することも考えられますが、左右の映像ソースを、ディスプレイ方式毎にコンバートして表示することが効率的です。

 拙著では、立体映像のネットワーク型の公開用ソフトウェアとして、「DepthCharge」をバンドルしています。DepthChargeは、米VRex社により開発されたソフトウェアであり、1つのコンテンツをさまざまな方式で表示することが可能です。DepthChargeとウェブブラウザを用いて立体映像を観察するサンプルも、拙著に収録されています。また筆者らは、2000年12月31日から1年間、内閣総理大臣官房により開催された「インターネット博覧会(インパク)」の特定テーマパビリオンにおいて、おそらくは日本初の立体映像のストリーミング配信を、DepthChargeを用いて行いました。

7.おわりに
 以上で立体映像のコンテンツクリエーションの、ウォーミングアップは終了です。次のステップは、ぜひ拙著をお手に取って、エクササイズしていただければと思います。筆者も早稲田大学において、拙著をテキストとしたオープン科目「立体映像表現」を開講しています。大学院で、こういった研究に取り組んでみたい方も、お気軽にご相談ください。

 クリエータやコンテンツが不足しているメディアだけに、立体映像コンテンツの体系的な制作理論は、まだありません。したがって、今後、コンテンツクリエーションに興味を持つ方々が、自分なりの表現を試行錯誤し、ノウハウを蓄積していくことが、次世代メディア普及への大きな原動力となると考えています。これまで予想もしなかった立体映像の対象や表現の開拓に挑戦する、次世代メディアクリエータの誕生を期待しています。