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本年3月19日に発売された3DCG製作ソフトShade7は、国内で圧倒的なシェアを占める汎用ソフトとして、シリーズ累計20万本以上の出荷を誇っている。

今回お話しをうかがったのはShadeシリーズを開発・販売している株式会社イーフロンティアのチーフデザイナー園田浩二さん。園田さんはセミナー会場、店頭、雑誌などで熱心に操作の基本や奥義を伝授するその姿から、巷間“Shadeの神様”と呼ばれている。またパッケージのデザインやサンプル集の製作も行なっているという、開発サイドからいちばん近くにいるユーザーともいえるキーパーソンだ。

―Shadeの「商品紹介」を開発に携わられたご自身からお願いします。

Shadeシリーズは、3DCGのつくり始めから完成までこれ1本でできる、いわゆる汎用統合3DCGソフトです。映像プロダクション系の3DCGソフト全般についていえることですが、コンポーネント型が多く1つのコンポーネントはある作業に特化されていて、それぞれに専門の知識が必要になり作業環境を整えるにはお金もかかります。
それに対してShadeは価格もお手ごろなので、プロはもちろんアマチュアユーザーも使いやすいようにできています。実際にユーザー層をみてみると仕事とホビーの比率がどちらも50%程度で、いろんな方に使われているのがわかります。

―3DCGクリエイターでもある園田さんから見て、Shade7の特長は?

今回のShade7の特長は、一言でいうと使い勝手のよさを徹底的に追求するという、アプリケーションソフトの原点に帰った点です。というのもShadeシリーズは汎用ソフトだけに、いままでバージョンアップをするたびに新機能をつけ加えてきました。その結果、ユーザーインターフェースが複雑になり、使いにくくなるという反省点も出てきたんです。
そこでShade7は、あまり使われていない機能をできるだけ省いて動作を軽くしたり、インターフェイスをより実用的に変更しました。いわばいままでのShadeシリーズのエッセンスだけを残した生まれ変わりともいえます。わたし自身、かれこれ20年近くShadeで3DCGの製作をしていますが、今回のバージョンはほんとうにストレスなく、快適に使えますね。


―3DCG制作はPCのスペックもソフトも、すごい環境が整わないと…と思ってしまいます。

ハリウッド映画ではすごいCGが出てくるので、そういう先入観があるでしょうが、必ずしもそんなことはないんですよ。たとえば3DCGをつくるとき、立体なので骨組みとなるワイヤー構造が必要なのですが、Shade7にはサンプル形状もついているので、それに肉づけしたり色をつけたり、といったところから楽しむこともできるわけです。テンプレート(下絵)をトレースして形状をつくることができるので、Shadeのユーザーの方には、専門オペレータというよりも絵を描くことを職業にされている方が非常に多いというのも特徴です。

―園田さんの制作経歴をお聞きしたいのですが、3DCGの世界に入られたきっかけは?

わたしが3DCGの製作を始めたのは29歳のときです。DTPデザイン事務所で仕事をしていた時期に、Shadeではないんですが、たまたま3DCGのソフトを見つけていじって遊んでいたのが始まりです。もともと絵を描くのは好きで、子どもの頃は描いた絵を誰かに見せて「うまい」といわれると嬉しいといったような、学校のどこのクラスにも一人はいそうな子でした。将来は人形アニメータになりたいと思っていたのですが、いったんは諦めていました。でもそれが意外な形で3DCGのソフトで実現してしまったんです。こうして毎日好きなことができて、しかも毎日違う経験ができる、それが楽しくていままでずーっと続いているという感じです。

―コンピュータ上の制作は、ペンを使って紙に描くイラストとはかなり違いますね。

確かに3DCGの製作にはパソコンのオペレーター的スキルが必要ですが、Shadeはプログラム一辺倒のソフトではなく、パソコンが苦手なわたしのようなイラストレーターでも使えるソフトなんです。というよりむしろ、絵を描くというのは何もないところから自由な発想で生み出していくものなので、その能力こそ大切でしょうね。わたしはいまでも、隠れて会社のコピー用紙の裏紙に絵を描いたりすることがありますよ。
ですから、ソフトの機能や性能はどんどん進化していますが、わたし自身の中にあるイラストレーティングの基本的な思考は昔から変わっていないですし、また変える必要もないわけです。

―制作のかたわらデモンストレーションの指導もやっていらっしゃしゃいますね。

弊社のデモンストレータには常々、その場しのぎのことで製品を売る必要はないといっています。パワーユーザーの方がつくられているものを見せてあげて、正味、自分もその場で何もないところから一からつくってみせる。できあいのデモファイルならどうにでも演出できますが、その場でやることは本物です。
3DCGは本当に自分に使えるのかどうか納得しなければ買うことができないソフトです。その場でわからなくても、そこでできていたことは記憶に残ります。たとえばShadeを選択しない人でも、同じことをやってみれば、選んだソフトとどこが違うのかはすぐにわかります。幸いShadeはほかのソフトとことごとく違います。同じ機能のソフトは2つも3つもいらないはずですよね。もしShadeにすればできることがあるのなら、黙っていてもShadeを選んでくれます。そしてできることがわかっていればやる気も湧くでしょう。わたしたちは、その実例をできるだけたくさん披露することが務めだと思っています。


―海外、たとえばCGの本場アメリカなんかでもShadeは使われているんでしょうか。

いえ、Shadeは日本でつくっているソフトですからね。これは東洋と西洋との「文化の違い」から来ているのだと思うのですが、プロでなくても場さえあれば誰でも作品を発表できるという文化は、どうやら東洋独特のものですね。
実はこれから海外でも本格的に力を入れていくところですが、特に米国ではまだまだ実績はありません。Shadeのキャラクターである飛飛(フェイフェイ)がアジアで人気を集めているように、アジア発の文化として広まればいいと思っています。タイ版などもすでに発売されていますが、英語版はどうしてもローカライズが遅れます。アマチュアの方がプライベートで3DCGづくりを楽しむという文化が希薄な西洋圏でも、ぜひShadeが広まればと思います。

―最後に、園田さんご自身のこれからの目標をお聞かせください。

個人の夢としては3DCGの実験的な映画をつくることです。そのためにもShadeにはアニメ関連の機能アップを頑張ってもらわないといけませんね。あとは日ごろ納期とかに追われて仕事をしているので、自分の中で究極まで昇華した作品をつくってみたいなあと思っています。どちらも引退した後にでもゆっくりShadeでやれればいいと思っているので、浮き世離れした夢ではありますが……。
いずれにしろ、有名になりたいというよりは、自分が納得するものをつくって、なおかつ人に喜んでいただければこの上ないことです。

PROFILE
園田 浩二
現イーフロンティアShade事業部チーフデザイナー
1957年福岡市生まれ。福岡大学商学部卒業後、ヤマハピアノテクニカルアカデミー2期生として感応調律師の道を歩む。5年のピアノ嘱託調律師の実務の後、システムソフトデザイン室へ転籍。グラフィックデザインを通してDTPの世界へ。そして3DCGへと進み現在にいたる。
代表作 1992年日本マクドナルド/ビッグマックキャンペーンTVCM「母なる大地編」、1996年セガサターン版「大戦略〜鋼鉄の嵐〜」オープニングCG用形状制作、2000年Newtonホームページ「DNA」特集説明アニメーション制作等、制作物は多岐にわたる。
2003年イーフロンティア入社、Shadeとの関わりは今年で18年を超える。

Shade Gallery
WEB OPEN SEMINAR
今回インタビューを受けてくださった園田氏によるWEB OPEN SEMINAR『Shade7』編はこちらから