CREATORS LOUNGE  - 3D Consortium Contents Gallery -
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CREATORS LOUNGEでは、関西テレビ放送が主催する「BACA-JA」コンテストの2007年度受賞者との座談会を2008年5月7日、東京・丸の内にあるコンファレンススクエア M+にて実施した。
「BACA-JA」は関西テレビ放送が映像クリエーター・アーティストを目指す全国の大学・大学院・短期大学・専門学校の学生を支援するコンテストである。
登場者は、「BACA-JA」プロデューサーの清治道夫氏(関西テレビ放送株式会社)、「BACA-JA」2007年度映像コンテスト部門で最優秀作受賞者の竹内泰人氏(武蔵野美術大学大学院)、同部門で優秀作受賞者の横田将士氏(東京造形大学)、進行役として、CREATORS LOUNGEディレクターの今来則彦氏(シャープ株式会社)の四者。

登場者のプロフィール

清治 道夫
清治 道夫(せいじ みちお)氏
関西テレビ放送株式会社クロスメディア事業局
メディア事業部
1977年1月26日生まれ
最終学歴:同志社大学文学部英文学科卒業
http://www.ktv.co.jp/baca/
横田 将士
横田 将士(よこた まさし)氏
1983年4月6日生まれ
最終学歴:東京造形大学造形学部デザイン 学科卒業
BACA-JA2007映像コンテンツ 部門優秀作
受賞者 優秀作 「いくえみの残像」
竹内 泰人
竹内 泰人(たけうち たいじん)氏
1984年4月14日生まれ
武蔵野美術大学大学院 映像コース 2年生
BACA-JA2007 映像コンテンツ部門 最優秀作受賞者 最優秀作 「オオカミはブタを食べようと思った。」
個人サイト:http://dokugyunyu.boo.jp/
※経歴・所属は2008年7月現在のものです。



■本日は2007年度BACA-JA映像コンテンツ部門の最優秀賞と優秀賞を獲得されたお二人と、主催されている関西テレビ放送の清治道夫さんにおこしいただき、座談会を開催させていただくこととなりました。お二人には作品制作の苦労や大学での活動などを存分に語っていただきたいと思います。

清治 道夫清治さん「学生クリエイター支援のコンテストを続けたい」 
 まずBACA-JA設立のきっかけからお話したいと思います。BACA-JAの前身は、前郵政省の管轄で、けいはんな学研都市にあった新世代通信網実験協議会(BBCC)の主催で94年に開催した「BBCCネットアート&映像フェスタ」です。ブロードバンド活用の一環として、学生さんたちが映像作品を発表する場にしようということで各学校の先生方にご理解を頂き、学校単位での作品募集を行ったわけです。その後、10年をメドに協議会が終了するにあたり、当フェスタを終了せずに、関西テレビが引き継いで、学生クリエイターを支援するコンテストにしようと考えたのが最初の発想です。
また、クリエイターと当社が、直接のつながりを持つというのも目的の一つとしてありますね。本来はクリエイターと企業の間に制作会社が入りますから、直接関係することがありません。機会を設けて、有望なクリエイターと直接つながりを持っておくことは将来の投資だと考えています。ビジネスとして接点をもつ機会は無いかもしれませんが、クリエイターへのリスペクトの意味もあります。BACA-JAの公式サイトで、ウェブ関連の受賞作の発表も行っておりますので、ウェブコンテンツを発表してもらう場としても意義があると思っています。後援していただいている日本映像学会のご協力のもと、各学校の先生に窓口になっていただき、作品を応募していただいています。各先生から5作品のみの応募となっていますので、非常に質の高い作品が集まっていると思います。

■審査員の方々はどのように選ばれているのですか?

清治さん
 現在の審査員は、松本俊夫さん(日本大学大学院 芸術学研究科 客員教授)、宇川直宏さん(デザイナー)、宮原秀夫さん(独立行政法人情報通信研究機構理事長、前大阪大学総長)、塩田周三さん(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ代表取締役)、BACA−JAの運営にご協力していただいている株式会社スーパーステーションプロデューサーの田崎友紀子さん、当社のライツ事業部プロデューサーの植村泰之です。松本さんは、前身のコンペから審査員長をお願いしており、宮原さんと宇川さんも開催当初から審査に携わっていただいています。立ち上げから国内の超一流の方々に審査員についていただいたことはラッキーでした。受賞のコメントもそれぞれの視点が鋭く厳しいですね。松本さんが神の視点とすれば、宮原さんは技術的な視点、宇川さんがアーティスティックな視点、塩田さんはビジネスとしての視点、田崎さんは長年BACA-JAを運営側から見てきた方としての視点、植村はテレビ的な視点から審査していますのでバランスがとれていると思います。

■応募はどのようにして行われるのですか?

清治さん
 募集は6月までに各学校の先生方に事前登録をしてもらいます。そして、8月末まで作品を受け付け、9月、10月中に審査して10月末に大阪で受賞式と上映会、さらに東京でも上映会を実施します。大阪では審査員や受賞者を招待して、丸一日かけて上映会するのが特徴です。その上映会には全国から受賞者に集まってもらうのですが、学生同士の情報交換の場として活用していただいています。各大学の次代のクリエイターが一堂に集まって、積極的な情報交換が行われています。その後もOB同士で連絡をとりあったり、BACA-JAの同期が集まって発表会も実施されているそうですからうれしいですね。また、今年からはケータイコンテンツ部門とブロードバンドアート部門を統合して、新たにネットワークアート部門を設けました。



■今回BACA-JAに応募されたきっかけや、受賞された率直な感想をお聞かせください。

横田さん横田 将士
 東京造形大学のデザイン学科映画専攻で、基本的に実験映像と呼ばれるジャンルの作品を作っています。実験映像を発表できるコンペは限られていて、劇映画やアニメならその何十倍も機会がありますが、BACA-JAは僕の作品のような扱いの難しい作品を受け入れてくれるコンペなので、まずありがたいと思いました。先輩にカンヌ映画祭にもノミネートされた大山慶さんがいらっしゃるのですが、大山さんを指導されて、僕自身もお世話になった教授からは企画を誉めてもらって大山さんに続けと(笑) その教授からもBACA-JAに出品しろと勧められました。僕の作品の色がBACA-JAの趣旨に合っていると見抜いてらっしゃったと思います。

清治さん
 他の多くのコンペはビジネス寄りですがBACA-JAはアーティスティックな作品も重視するので、そのあたりをご存知だったのでしょう。インターネットが普及し、その中でいろいろなコンテンツを出す場が爆発的に増えましたが、そこにBACA-JAの存在意義があると思います。いろいろなジャンルのクリエイターが生きる場が広がっていますし、必ずしもアートが閉ざされているのではなくて、ビジネス的に評価する動きが出来てきています。ただ、ビジネスを前面に出して、クリエイターのモチベーションを下げたくないという思いもあり、そのバランスにいつも悩んでいます。クリエイターには自由に作品を作ってもらってBACA−JAがその発表の場になっていきたいと思います。竹内さんがBACA-JAに応募されたきっかけは?

竹内竹内さん
 受賞作は武蔵野美術大学の院生だったときに制作しました。その作品が最優秀賞をいただきました。それまでコンペには出品したことがなかったのですが、ゼミの教授に勧められたことがきっかけです。今までサークルの上映会では発表していたのですが、それも音楽が市販のCDから採用していたりしたので、著作権の関係で出せなかったこともあります。BACA-JAでは受賞者同士で親交をもって、卒業上映会などで交流がもてたこともいい経験でした。こういった取材を受けているのもモチベーションが上がります。NHKのデジスタにも出演しました。BACA-JAの受賞者がたくさん出演していますし、いろいろな方面から注目を受けるようになりました。

横田さん
 BACA-JAで賞をいただいた事は、とても大きな自信になりました。東京造形大学は特にそうですが、学生の中ではBACA-JAは高い位置にあるコンペとして意識されています。大阪がメインですが東京でも発表会を行っていただいたのは大きかったですね。コンペはたくさんありますが、だいたい主催された地域でしか作品が上映されないものです。ウェブではなく、より多くの人に大きなスクリーンで観てもらうことが嬉しいです。DVDを渡して観てくださいだけではなく、もっとパブリックな場で観てもらいたいですから。自分のいる地域ではなくて、いろいろな場所の人に観てもらって認めてもらえるのもいいですね。


■それぞれの創作スタイルや大学での映像制作の現状をお聞かせください。

横田さん「自分を研ぎ澄まして作った作品が受賞して自信につながりました」
 映像制作のきっかけは高校時代の新任の美術教師との出会いです。その他に友人が邦画のエキストラに出演したことやその映画の撮影監督が別の友人の伯父さんだったことなど、映画が身近に感じられる環境だったことや、高校3年の時に作品を初めて撮ったこともあって大阪芸術大学に進みました。そこで16mmフィルムの勉強をしていたのですが、ちょっと違うなと。人と一緒にやることで自分のビジョンが薄くなっていく気がしたのです。いろいろなものが殺ぎ落とされていくようで。それなら自分の観たいものを作ろうと。普通ならアニメなのでしょうけど、僕はドキュメンタリー制作を選びました。セルフドキュメンタリーを撮っていたのですが、それも行き詰まって、造形大学に編入しました。造形大学では自分と同じように混沌としているのに面白い作品を作っている人が多かったですね。振れ幅が大きくてトゲのあるものが多かったですね。自分もこんなに自由にやれると気付いて、そこからはひたすら作りつづけていますね。3年の時にはいろいろなコンペで賞をもらうようになって、今まで受け入れられてこなかった時とのギャップに戸惑いました。でも、受け入れられるような作品ではなく、自分の中から出てくるアイデアを大事にしようと。そうして制作した卒業制作はBACA-JAに出品した「いくえみの残像」という作品と同じ手法を取ったのですが、自分ではすごく研ぎ澄まして作ることができました。



映像コンテンツ部門優秀作「いくえみの残像」より

映像コンテンツ部門最優秀作「オオカミはブタを
食べようと思った。」より
竹内さん「これからも観たことが無いような技法を追求し続けたいです」
 僕はNHK教育の「ニャッキ!」や「ジャム・ザ・ハウスネイル」のようなコマ撮りに影響を受けました。あと、ヤン・シュヴァンクマイエルですね。DVDもたくさん買いました。こんなに飛び抜けた作品が受け入れられているんだから、僕がどんなに飛び跳ねて遊んでいても大丈夫だと思いました。横田さんと同じくコマ撮りにこだわっているのは、単純に面白いし、あまりやっている人がいないんですよね。アニメもCGもプロはものすごく高いレベルで作っている。学生のときに挑戦していても歯が立たないですよね。評価されても、学生にしては良く作ったとか。でもコマ撮りはアイデア次第で、この技法は見たことがない、というものが作れるんですね。これからも観たようなことが無いような技法を追究し続けたいと思います。創作スタイルは、アイデアが先に出てきて、そこからは制作一辺倒で他のことは一切したくなくなります。今回BACA-JAに出品した「オオカミはブタを食べようと思った。」の撮影では友人にも出演を依頼して、時間をかけて行ったのですが、編集は夜通しやって、昼に起きて、またずっと編集をして、合間に食事してという繰り返しですね。完成したからコンペに出せましたが、友人もそうですが、作品の完成がコンペの締め切りに間に合わないことが多いですね。
 
 

横田さん
 造形大学の気質からいうと、コンペティションに積極的な学生とそうでない学生に分かれます。どちらかというと先進的なものだったり、前衛的な作品が多いので発表の場としてコンペティションよりもテーマ性を持った上映会を選択している人が多いように思います。僕自身、そういった上映会にもたくさん参加しています。コンペも上映会も両方にうまく関わる事が重要だと思っています。

竹内さん
 武蔵野美術大学の学生は比較的コンペに対して前向きですね。外で自主的に上映会もやってますし、活動的になろうとしています。いろいろな分野のキーマンを招いてシンポジウムも盛んですし。ただ、卒業して就職しようという人はコンペには出さない傾向があると思います。

横田さん
 造形大学もシンポジウムは盛んですね。作品より作品の背景、自分達の時代にしか生まれない背景などを追求する。映像作家だけではなく、ジャンルが違う人でもキーワードに適う方を招いたりします。個々の作品を追求するより、集合体的な考え方をしている人が多いと思い
ます。

竹内さん
 映像学科は外との接触が少ないです。最終的な編集は自分の作業ですから、いかに自分の時間を作るのかということも才能なんでしょうけど。映像作家にはある程度の引きこもり気質が必要だと思います。OBは自主映画サークルなどを作って、コンペにも応募して評価されているようです。学生主催のコンペもあります。ちゃんと評論家を呼んで賞金も出る。でも主催側と作り手のモチベーションにちょっとズレがあると思います。学生主催だとせっかく作品を出品しても集客力がないと思いますし。



■受賞されたお二人は、今後どういった制作活動を考えていらっしゃいますか?

横田さん

 今年の3月に大学を卒業したのですが、昨年1年間はいろいろなクリエイターの方々に作品を見ていただいて、つながりも増えました。しばらくは、そういった方たちに作品を見ていただくなど、フリーを目標にアプローチしていこうと思っています。また、もっと他の人と関わることで違うものを作りたいとも思っていま す。そういった意味で企業や団体など、どこかに所属しながら自分の作品を作り続けるという道も模索していきたいと思っています。どんな形であれ、映像で食べていきたいと思っています。

竹内さん

 来年の3月に卒業ですが、どこかの映像制作会社に就職しようと思っています。自分の作品だけで食べていけたらいいなとも思います。これまで一人で10作品ほど作りましたが、いかに個人で作れるかをテーマに頑張っていたので、コマ撮りが多かったですね。でも、それを続けていても作風は広がらないと思うようになりました。また、もっと他の人と関わることで違うものを作ってもいいのかなと思います。だから既存の制作会社に入って知識を得たり、経験を積もうかなと。そして、10年、20年後に独立してもいいと思っています。

清治さん
 クリエイターの作品が認められる機会を設けるためにアルスエレクトロニカ(オーストリアのリンツで開催されているメディアアートフェスティバルの最高峰と位置付けられているイベント。以下・アルス)の映像部門のコンペにBACA-JAの受賞作からピックアップして送っています。今後はアルスで活躍するクリエイターとBACA-JAの受賞者を結びつける橋渡しになりたいですね。アルスのディレクターとは予算がつけば互いの作品の上映会をしようと話し合ってもいます。ヨーロッパの芸術大学の映像展も行っているのですが、そこでBACA-JAの上映会も一緒に行ってもいいかもと思っています。若いクリエイターの橋渡しをしたいですね。実験映像はヨーロッパでは受け入れられやすく、日本の映像が認められる確率も大きいと思います。先ほどお話に出た大山慶さんもBACA-JAで入賞して、アルスでも入賞しましたね。今後もそういう面でのサポートは続けていきたいですね。

■最後に、3D立体視をどのようにとらえられているかお聞かせください。

竹内さん
 3DCGソフトの「Maya」を勉強中で、将来的には3Dを使う機会もあると思います。作品の多くはコマ撮りをメインにした制作を行っていますが、パソコン上で色やサイズを変えたり微調整を行うので、これはある意味でCG作品だなと思っています。コマ撮りとCGをあわせた作品ならもっと広がりがでると思います。フルCG作品が可能かどうかはわかりませんが、CGはちょっとした隠し味的には使っていきたいと思います。近いうちに3D CGキャラクターをコマ撮りで撮りたいと思っています。

横田さん
 3DCGは自分の表現したいことをより表現しやすくなると思います。大学で3DCGを少し勉強したことがありますが、何千万もするソフトだったので、少し触ったくらいでは自分の作品に生かせないんですね。でも自分の周りに歳が同じくらいなのに技術をもっている人がたくさん出てきて、こんな道もあったのかと正直くやしく思っています。今になって3Dはやりたいとは思いますが、大学も卒業してしまったし手を出せない面もありますね。独学の道もありますが、すぐには難しいですし。作品を作るときに頭の中に映像が3Dのように浮かんでくるので、CGや3Dでやればいい、とよくいわれるのですが、まずそんな技術が無いんですね。伝えたいものは手で作るのがいいと思っている面もありますが、エキセントリックなものが浮かんでくるとCGや3Dができたらなと思いますね。どの大学も1年生の頃からしっかりCGや3Dを学ばせてくれると、創作の幅が広がるとは思います。正直なところCGや3Dの道に乗り切れなかったのがくやしいと思いますね。

清治さん
 BACA-JAはオールジャンルOKです。それに加えて、今後はCGソフト、Flash、Max/MSP、Processing、Gainerなどを駆使してつくった学生の作品を見てみたいと思っています。
また、BACA-JAではネットワークアートというカテゴリーを設定して、ネットを利用したインタラクティブな作品も応募できるようにしました。今後は大学やソフトメーカーとも連携をとって、学生クリエイターのサポート体制を作っていきたいと思います。

横田さん
 大学で3Dをやっている人はモチベーションが高いです。高価なソフトを買ってまで作ろうと思っていますから。そういった意味ではよい作品が多いと思います。

竹内さん
 BACA-JAの関係者の経由でデジタルコンテンツ協会のセミナーを受けさせてもらったのですが、プロの方にマンツーマンで教えてもらい、これは非常に勉強になりました。でもそれはマンツーマンだからできたと思います。大学の授業は大勢を相手にした教え方なので成長の度合いが遅いと思います。最新ソフトを紹介してもらうことは必要だと思いますが、やっぱり自分であれこれやって使いたおしたほうが身になる。大学に期待するのではなくて自分で習得したほうがいいと思います。

清治さん
 BACA-JAの今後の抱負ですが、賞を提供するだけではなく、若いクリエイターに著作権やビジネスとして制作する際に知っておかなければならない知識もレクチャーする場でありたいです。また、企業に作品を売り込む場合のノウハウなども支援していきたいです。周辺の体制整備や手続きがこなせるようになると、もっとスムーズに作品を作り出せる環境ができると思います。

■皆様本日はお忙しい中、ありがとうございました。BACA-JAのますますの発展と、受賞された方々の今後の活躍を期待しております。

「BACA-JA2008のウェブサイトはこちら!」 
http://www.ktv.co.jp/baca/index.html





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